第5章

沙織の視点

 洋一の手から携帯がするりと滑り落ち、彼はその場で石のように固まった。

「ボス? ボス、まだ聞こえますか!」村田の焦った声が飛び込んでくる。

 洋一ははっと我に返り、屈んで携帯を拾い上げた。震える声で言う。

「もう一度、言え」

「八代田家の弁護士が来ました。奥さまのご依頼で、離婚の件を……」

 洋一の顔から一瞬で血の気が引いた。

 彼はほとんど駆けるようにブティックを飛び出した。背後で世都子が何か叫んでいたが、耳に入らない。護衛たちが慌てて追いすがる。

「沙織のフライト情報を洗え!」洋一は携帯に向かって怒鳴った。

「今すぐだ!」

 十分後、彼の手元に私の便名が...

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