第7章

沙織の視点

 床の脇、床にうずくまっている洋一を見下ろしながら、私は迷っていた。本当に体調を崩しているのか。それとも――また演技なのか。

 そのとき、廊下の向こうから切迫した足音が駆け寄ってくる。

 ドンッ!

 扉が蹴り破られた。

 勇人が黒服を引き連れて雪崩れ込んでくる。顔色は凍りついたみたいに暗く、目つきだけが鋭い。

「沙織!」

 私を見つけた瞬間、あの目に――剥き出しの殺意が走った。

 洋一が勢いよく立ち上がり、ベッドの前に割り込む。

「八代田、これは俺と沙織の問題で――」

 言い切る前に、勇人の拳が洋一の頬を叩き潰した。

 洋一はよろめいて後退し、口の端から血が...

ログインして続きを読む