第106章 一目見ないとお前は傷つく

車のドアが開く。伏見行哉は眉をひそめ、松本清永が抱えている立花郁葉と、彼女の肩に掛けられた上着を冷ややかに見た。

松本清永は彼の顔など見たくもない。さっさと脇をすり抜けようとした、そのとき――伏見行哉が腕を伸ばす。

「どういう状況だ」

松本清永は眉間に皺を寄せたまま言い返す。

「伏見社長、見れば分かるでしょう。かよが怪我しました。今から病院で診てもらいます。治療の邪魔をする気がないなら――」

「寄こせ」

伏見行哉が奪うように抱こうとする。

松本清永の瞳に嘲りが走った。

「伏見社長は、川瀬グループの令嬢がいて、坂東先生と若手女優の件もあって……外にも女が掃いて捨てるほどいる。そ...

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