第125章 取引をしよう

立花郁葉が目を覚ましたとき、全身が車輪にでも轢かれたみたいだった。

少し身じろぎしただけで、強張った痛みが一気に走る。

「目、覚めたか」

男の声が耳元で落ちた。

「行哉……喉、渇いた……」

背中をそっと支える手。唇元に温い水が運ばれる。

郁葉は小さく啜り、頃合いを見て男がコップを引いた。

「医者を呼ぶ。勝手に動くな」

ぼんやりした視界の端に映った顔が、布川昴だと気づいた瞬間、郁葉は固まった。夢の続きだと思ったのに。さっきから声が違う気がしたのは、そのせいか。

「俺だよ」

昴は彼女の目に走った落胆を見逃さず、ナースコールに手を伸ばすと、身を屈めて彼女をそっと寝かせた。

「...

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