第133章 その指輪はどこだ

「立花郁葉――俺の血、うまいか」

「足りないなら、もっと飲めばいい」

その言い草が気持ち悪くて、郁葉は唇を離した。口元には、赤い雫がつう、と残る。

伏見行哉の首筋には、深紅の歯形がくっきりと刻まれていた。

行哉は指先でそこをなぞり、まぶたを持ち上げる。

「同じことは二度言わない。松本清永から離れろ。できるだけ遠くに」

郁葉は鼻で笑った。

「伏見社長、忘れたんですか。いまの私たち、もう何の関係もない」

「私がどの男と一緒にいようが、伏見社長が口を出すことじゃない。そもそも別れを言い出したのは、あなたのほうでしょう。まさか、言ったことを平気でひっくり返す人じゃないですよね?」

...

ログインして続きを読む