第138章 しばらく伏見行哉に近づくな

日向司は、立花郁葉が苦労している様子を見て口を開いた。

「俺がやる」

そう言って彼は彼女のほうへ歩み寄り、腰を落として車椅子の老婦人を覗き込む。

「覚えてますか」

「日向さん……だったかしら?」

日向司はやわらかく笑った。

「車まで抱えていきますね。そうしたら郁葉も少し楽でしょう」

「ええ、お願いするわ」

三年も寝たきりだった祖母は、身体の機能が落ちていて、骨ばっている。肉なんてほとんどない。

日向司は軽々と祖母を抱き上げると、肩越しに言った。

「ほら、急いでついてきて」

立花郁葉は荷物を車椅子にまとめて載せ、日向司の後を追って従業員用エレベーターに乗った。中は広くはな...

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