第186章 立花郁葉を振ったのか?

卒業制作展の当日、川市からの来場者は思いのほか多かった。企業の採用担当、近隣の住民、それに一般の市民まで。子ども連れが目立つのは、ここが一流の美術学院だからだろう。芸術に触れて気分転換――そんな目的にも、うってつけの場所だ。

立花郁葉は前日、ほとんどクラスメイトと一緒に会場に張りついていた。

トイレで軽くメイクを整えようと、郁葉は洗面所へ向かう。個室に入った、その瞬間。

外から、ひそひそとした声が聞こえてきた。

「ねえ、あの子って何であんな必死なの? どうせ欲しいものなんて、伏見行哉がすぐ与えるじゃん。それなのに、うちらの枠まで取りに来るとかさ」

「でもさ、実力は本物だよ。作品見た...

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