第6章

シエナ視点

車から降りた私は、モレッティ家の邸宅を見上げた。

玄関に黒いスーツの男性が姿を現した。「オコナーさん、ようこそ。わたくしはヴィンセント。ここのスタッフの責任者です。モレッティ様より、お部屋へご案内するよう申しつかっております」

永遠に続くかと思われる廊下を、私は彼の後についていった。

「お部屋は東翼のゲストスイートになります」ヴィンセントが両開きのドアを開けた。「モレッティ様とは明日お会いいただきます。今夜はどうぞ、ごゆっくりお休みください」

私はまっすぐ床から天井まである窓へ歩み寄った。冷たいガラスに額を押し当てる。私は一体、何をしているんだろう? 一つの悪夢...

ログインして続きを読む