第7章

シエナ視点

結婚式の前夜、私はスイートルームの暖炉のそばに座り、自分が一体何をしようとしているのか、深く考えすぎないようにしていた。そのとき、誰かがドアをノックした。

「どうぞ」

入ってきたのはルカだった。黒いベルベットの箱を手にしている。珍しく普段着で、ただの黒いズボンに白いシャツ、袖は前腕までまくり上げられていた。腕には筋張った筋肉が走り、その手に向かって血管が浮き出ているのが見える。髪は少し乱れていて、フォーマルなスーツを着ていない彼は、若々しく見えると同時になぜか一層魅力的に映った。マフィアのボスというよりは、むしろ、その日一日は現代の服を着てみようと気まぐれを起こした北欧...

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