第40章 簡単に私を愛さないで

家に送らず、彼の自宅に連れてこられた?

田中春奈は瞬時に警戒心を抱き、俯いて自分自身の姿を確かめる。服はきちんと着たままで、少しも乱れた形跡はない。

ほっと息をつき、慌ててベッドから立ち上がった。しかし、靴が見当たらず、冷たく清潔な床を素足で歩くしかない。

ベッドサイドの目覚まし時計に目をやると、午前五時を指していた。

窓の外はまだ真っ暗だ。この男は、まさか自分の家で私を泊まらせたというのか? だとしたら、息子はどうしているのだろう?

田中春奈は尽きない疑問と不安を胸に、一歩一歩、階段を下りていった。

別荘全体に柔らかな間接照明が灯され、まるで自分が壮麗な宮殿にでもいるかのようだ...

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