第42章 招待状

だが、江口匠海はこのまま引き下がるつもりはないようだった。「来ないなら、俺が届けてやる。どっちがいい?」その声には、拒絶を許さない気迫がこもっていた。

田中春奈は彼の気性を知っているため、渋々頷くしかなかった。「わかったわ、今から行く」

そう言うと、彼女は深呼吸を一つして、オフィスからエレベーターへと向かった。

車に乗り、江口グループへ向かう。最上階に到着した田中春奈がドアをノックすると、中から男の低い声が聞こえた。「入れ」

彼女がドアを開けて中に入ると、その視線はソファに座る脚の長い男に注がれた。

彼女はさっと室内を見渡し、単刀直入に言った。「物をちょうだい」

男...

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