第43章 田中由衣が招かれずにやって来る

彼女は松本悟に鋭い視線を向けた。

「いいわ、松本悟。これから匠海に関する全てのことを、逐一私に報告しなさい。それと、あの田中春奈というクズをしっかり見張っておいて。もしあの子が匠海と少しでも親密な素振りを見せたら、真っ先に私に知らせるのよ！」

松本悟は江口匠海の側近としての地位こそ、秘書である大野博には及ばないものの、彼の日常生活の些事に触れることができる。当然、田中由衣に多くの情報を提供することが可能だった。

松本悟が去った後、田中由衣は怒りのあまり寝返りを打ち続け、眠れずにいた。

江口さんはどういうつもり？この田中由衣を見下しているの？それとも、私を江口匠海に近づけさせたくないの...