第110章 彼は離婚したくない、竹内葵を失いたくない

結城夏帆はその話を聞き終えた瞬間、怒りで胸の奥がきりきりと痛んだ。

二、三年も待ち望んだ孫は、こうして消えた。息子と嫁の結婚まで、新井新菜という疫病神にかき回されて終わりかけている。

こんなことが外に漏れたら、庄司家の面目は丸つぶれだ。

庄司剛征は、母子のことをどう見る?

夏帆は奥歯を噛みしめ、腹の底で毒づく。

「……このクズが」

まともな選択肢があるのに、好んで破滅に向かうなんてな。

いいだろう。

なら、望みどおりにしてやる。

竹内葵の、涙の跡でぐしゃぐしゃになった顔を見つめながら、夏帆は胸の底で煮えたぎる怒りと冷酷さを無理やり押し殺した。

いま一番大事なのは、葵に離婚...

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