第111章 庄司優斗、離婚しましょう

病室はしんと静まり返っていた。竹内葵はベッドに横たわり、長いあいだ芝居を打ってきたせいか、心も身体も疲れ切っていて、頭の中は真っ白だった。

まるで、なにも入ってこない。

虚ろな目で前を見つめても、焦点すら合わない。

庄司優斗が気持ちを立て直して入ってきたとき、目に飛び込んできたのはその光景だった。

胸がひゅっと縮み、同時に細かな痛みが走る。深海に放り込まれたみたいに、周囲は水だらけで、どれだけもがいても掴める浮き木が一本もない。

こんなに近くに立っているのに、宇宙ひとつ隔てられているように感じた。

――もう二度と、抱きしめられない。手に入れられない。

そう告げられているみたいで...

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