第116章 警察が訪ねてくる

庄司優斗は息を止め、顔に気まずさが走った。慌てて自分の口をぺちぺちと叩き、

「俺が悪い、俺が悪い。言い方間違えた。葵、怒らないでくれ」

竹内葵は返事をせず、オレンジをひとかけ口に放り込んだ。

たしかに、甘い。

そっと噛むと果汁が口いっぱいに弾け、喉を伝って胃へ落ちていく。

けれど、どうやっても心までは甘くならなかった。

考えすぎたせいか、その夜も眠りは浅いままだった。

支離滅裂な夢をいくつも見て、どこかで誰かが自分の名を呼ぶ声まで聞いた。聞き覚えのある声なのに、肝心の顔だけがどうしても掴めない。

朝六時半ごろ、葵は目を覚ました。

窓の外では、いつの間にかまた霧雨が降り出して...

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