第117章 調べがついた

警察は、竹内葵の絶望的な嗚咽を背にして病室をあとにした。

庄司優斗は見送りに立ち上がりもしない。ただ彼女の泣き声を聞いているだけで、胸の奥が砕け散りそうだった。

彼は崩れ落ちた感情を必死に宥め続ける。柔らかく、けれど途方もなく辛抱強く。

「葵、大丈夫だ。俺がいる。母さんが葵に遺した美術館を、誰にも壊させない。だから……言うこと聞いて。もう泣くな、な?」

竹内葵は彼の胸の中から顔を上げた。声は途切れ途切れで、息がうまく吸えない。

「で、でも……あの人、通報できたってことは……まだ何か、次の手があるかもしれない……」

胸元を押さえた指の隙間から、涙がぽろぽろと零れ落ちる。切れた糸の珠...

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