第12章 不倫の専用部屋

早瀬信祐の冷えた視線が、彼女の顔に落ちた。声音は低く、どこか淡々としている。

「どうした」

「最近、いくつか証拠を集めたんです。でも、まだ整理できてなくて……万が一が怖いので、先生に送って保管してもらえませんか?」

手元にある証拠は、実のところ多くない。写真とスクリーンショット、それに音声データが少し。

――けれど自分で開いて確認する勇気が、どうしても出なかった。

それに、いつ庄司優斗が彼女のスマホやパソコンを覗くかわからない。落ち着かない。代理人弁護士に預けてしまうのが一番安全だ。

早瀬信祐が何気なく訊く。

「財産のほうは、どこまでまとまった?」

「夫婦共有財産は把握できま...

ログインして続きを読む