第30章 敵の敵は友だち

竹内葵は表情をこわばらせ、慌てて手を振った。

「大丈夫だよ、お母さん。あたし一人で上がれるし。わざわざお母さんの手を煩わせるほどじゃないよ?」

「何が煩わせるよ。私にまで遠慮しないの」

結城夏帆は葵の手を取り、階段のほうへ向かって歩き出す。数歩も進まないうちに、執事の田村が入ってきて一礼した。

「夏帆様。蓉子様がお呼びです。お話があるので、すぐ来るようにと」

結城夏帆の足が止まる。

「……蓉子様が、私を?」

それはさすがに珍しい。

関根蓉子が自分を快く思っていないことなど、誰でも知っている。長年、互いに見ないふりで済ませてきたのに、今日になって向こうから呼び出してくるなんて―...

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