第70章 進むための退却

昼休みの食事の最中、新井新菜は隙を見て庄司優斗に電話を入れ、あのブレスレットの件を切り出した。

庄司優斗は小さく息を吐き、やわらかい声で宥める。

「俺が悪い。ちゃんとしまってなくて、葵に見つかった。スマホで別のやつ見ておいて。金、送るから」

新井新菜は甘えるように鼻を鳴らした。

「百花はあなたの妹でしょ。ブレスレットくらい、気に入ったなら私のセンスがいいってことだし。別にあれがなくても困らないわ。こんなことで本気で揉めたりしないよ? 私が欲しいのは、あなたの態度。態度が良ければ、何だって嬉しいの」

「補償なんていらない。私、あなたと一緒にいるの、お金目当てじゃないもん。あなた自身が...

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