第71章 彼女を試しているのだ

チン!

竹内葵がエレベーターの前まで来たところで、ポケットのスマホがまた鳴った。

「新井新菜が玄関先で盗み聞きした『明日の夜、早瀬信祐と食事する』って話を庄司優斗に伝えた。庄司優斗は『今夜は急に残業になった』を理由に、新井新菜との和食ディナーをドタキャンした」

その一行を見つめ、竹内葵は眉をひそめる。

――さっき、新井新菜は入口で、わざわざ聞き耳を立てていたってこと?

……まあ、いい。

庄司優斗の「残業」に何度も傷つけられてきた痛みを、今度は新井新菜にも味わわせればいいだけだ。

六時が近づいたころ。バッグを手に執務スペースの前を通りかかると、新井新菜もちょうど片づけを始めていた...

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