第72章 彼女は本当に失望した

竹内葵は一瞬きょとんとして、気を落ち着けてからようやく、目の前の男の顔をはっきり捉えた。

色白で整った顔立ち。すっと通った鼻梁に、くっきりした輪郭。目尻がきゅっと上がった奥行きのある瞳は、どこか放埓で、世の中を斜に構えるような光を宿している。

――なんだか、昔の彼に少し似ている。

挫折だの、致命的な痛手だのを負った人間には、とても見えなかった。

初対面とはいえ、この手の御曹司の浮き名は嫌でも耳に入る。K市の名門界隈では、名の通った人物だ。普段ゴシップに興味のない竹内葵ですら、彼が誰と付き合ってきたかくらいは知っている。

森本美月だけじゃない。芸能界の一軍、二軍、三軍あたりの女優やタ...

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