第80章 わざと彼に見せつけるためにやった

「食堂?」

竹内葵は一瞬きょとんとして、反射的に早瀬信祐を見た。ちょうど向こうもこちらを見ている。

「この時間に戻ると渋滞する」

早瀬信祐の声は淡々としていた。

――つまり、食べていけばいい。帰りは夕方のピークを外してから。

竹内葵は昼にラーメンを数口しか食べていない。正直、もう空腹だった。たとえ渋滞がなくても、帰りは2時間以上。低血糖の彼女には、空腹はきつい。

そう思うと、変に遠慮する気にもならず、早瀬環奈に笑って言った。

「それじゃあ、お言葉に甘えます。環奈さん、私たちの案内お願いします」

――私たち?

早瀬信祐は思わずまぶたを上げた。淡い無関心を湛えた瞳に、彼女の横顔...

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