第86章 彼女は見物を待っている

竹内葵はその一行を見つめ、寄っていた眉をゆっくりとほどいた。

――出来すぎじゃない?

こちらが結城夏帆に向けて布石を打ち終えた矢先、明日には庄司優斗と新井新菜の不貞が露見する。

目黒百花が知れば、結城夏帆も知る。

上出来だ。もともと葵は、あの二人の手でこの件を表沙汰にし、結城夏帆のやり方で新井新菜を叩き潰し、社会的に終わらせるつもりだった。

自分は――ただ、無垢な被害者の位置にいればいい。

翌日。

目黒百花は新井新菜を尾行し、ある洋食屋へ入った。そこで庄司優斗と新井新菜が楽しげに笑い合っている光景を目にした瞬間、頭が真っ白になった。

遠くで立ち尽くし、金縛りにでも遭ったみたい...

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