第92章 釜底の薪を抜く

庄司優斗はソファに腰を下ろしたまま、落ち着かない時間を三十分以上もやり過ごしていた。陰りを帯びた瞳が、テーブルの保温容器を鋭く睨みつける。

時間に引き延ばされた焦りが、内臓の隙間という隙間まで満たしていくようだった。

母さんは、どうして知った?

葵のせいか?

……違う。

葵が知るはずがない。

まさか――葵が、以前から自分と新井新菜のことを疑っていたのを母に漏らして、そこから母が調べ上げた?

そこまで考えた瞬間、心臓がきゅっと縮む。これ以上は考えない。優斗は立ち上がり、上着と車の鍵を掴んでオフィスを出た。

昨夜の雨は今朝になってようやく止んだが、空は相変わらず灰色で、晴れ間はな...

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