第97章 三つ子の魂百まで

K市はここ数日ずっと空が重たかったのに、大雪は来ないまま、逆にすっきりと晴れた。

午前十時半。竹内葵は会議を終え、会議室を出たところで、スマホが不意に軽やかな着信音を鳴らした。

画面に表示された名前は「新菜」。

足が止まる。瞳の光が、ゆっくりと沈んでいった。

新井新菜と――展示設営のアクリル板の件があってから、二人の間には見えない膜みたいなものが張った。LINEでやり取りする回数も、目に見えて減った。

たいていは、葵が面倒だったのだ。画面越しにまで芝居を続けるなんて、疲れる。

まして電話なんて、なおさら。

コールが切れそうになってから、葵はようやく通話ボタンを押した。声はいつも...

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