第100章 後ろ盾

茜音POV

山本梨衣は全身をびくりと強張らせた。私がこんな反応を返すとは思っていなかったのだろう。戸惑いながら中村佳代をちらりと見る。

中村佳代は慌てて目配せした。

「社長がお持ちになれって言ってるの。何ぼさっとしてるの?」

そこでようやく我に返ったらしく、山本梨衣はぎこちない足取りでデスクへ寄り、両手でファイルを差し出してきた。緊張で手のひらに汗が滲んでいるのが見て取れる。

受け取ってページを繰る。梅宮早絵のところで一か月近く滞り、何度も突き返されたデザイン案。だが私にとっては、数分で目を通せる程度のものだった。読む速度は速いのに、表情は終始、凪いだまま。まるでありふれた報告書を...

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