第105章 菅田茜音に勘定をつける

茜音POV

その頃――「モード社」グループの会議室。

私はたった今、最後の提携契約書にサインを入れたところだった。

向かいのデザイン部長が立ち上がり、心からといった様子で手を差し出してくる。

「さすがは菅田社長ですね。目利きも決断力も、噂以上だ。御社と組めるのは、我々『モード社』の誇りです」

私は淡く頷き、短く握手を返す。声は冷たく、それでいて礼は欠かさない。

「こちらこそ。よろしくお願いします」

交渉の間じゅう、私は筋道を崩さず、言葉も刃のように研いだ。市場の匂いを嗅ぎ分ける嗅覚と、ファッションへの独自の視点――業界で十年以上揉まれてきた連中ですら、内心では舌を巻いているのが...

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