第111章 人前で恥をかく

茜音POV

モニターの中で、志水寧々がオートクチュールのドレスに身を包み、完璧に作り込んだメイクでカメラへ笑いかけていた。春風を独り占めしたみたいな、得意げな笑み。

あの顔は志水家の養母に七分ほど似ている。けれど素朴さは欠片もなく、残っているのは計算し尽くした甘さだけだった。

視線をその顔に留めたまま、私は唇の端をほんのわずかに持ち上げる。薄い、薄い――嘲り混じりの弧。

盗作と模倣の小賢しさだけで、デザインの世界に居場所を作れるとでも?

笑わせる。

車が止まり、ドアに手をかけた瞬間、腕を掴まれた。

藤堂律がいつの間にかシートベルトを外していて、小ぶりで上品な軟膏を私の手に押し込...

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