第17章 修復

茜音視点

「藤堂社長、まだ追いますか」

浅川浩が恐る恐る訊ねてきた。

私は目を上げる。競売場の豪奢なシャンデリア越しに、二階の個室からこちらを値踏みする視線が、かすかに刺さってくるのを感じた。

藤堂律の声は低く、薄い。それなのに妙に耳に残る。

「帰る」

個室の灯りが、ふっと落ちた。

私は視線を戻し、口元だけをわずかに持ち上げる。

MMRは確かに希少だ。けれど藤堂家の当主には、それ以上に優先すべき用があるらしい。

「茜音、お前の勝ちだな」

隣で一之瀬敬介が大きく息を吐いた。労わるような、呆れるような、そしてどこか敬意を含んだ声。

「一億だぞ。MMRのためだけに」

「安い...

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