第25章 家宝

茜音視点

藤堂博文が今回あそこまで怒ったのは当然だ。菅田家にも、言い逃れできない責任がある。

この婚約が最終的にどう転ぶにせよ、今の私は菅田家の本物のお嬢様として、一度は筋を通しに行くべきだろう。

私は小さく頷いた。

「行きましょう」

藤堂律は菅田家の人間に手短に挨拶を済ませると、私を連れて病院へ向かった。

病院最上階のVIP病室の前は、張りつめた空気に包まれていた。

近づく前から、室内の声が耳に入る。執事の焦った宥め声に、老人の腹の底から出るような不満が混じっていた。

「飲まん! 飲まんと言ったら飲まん! あんな苦い薬、わしを苦しめて殺す気か!」

藤堂律が扉を押し開けると...

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