第34章 受けない

藤堂律視点

仮面の女はその言葉を聞くと、瞳の笑みをすっと薄めた。反射的に半歩退いて、俺の視線から逃れるように顔を伏せる。声には、かすかな脆さが混じっていた。

「私……この姿じゃ、やっぱり会わないほうがいい。怖がらせてしまうから」

俺の視線は、彼女の仮面へ落ちる。いつもは鋭く冷えきった黒い瞳に、今夜は柔らかな痛みがにじんだ。

「大丈夫だ」

言い聞かせるように、しかし断定するように言う。

「お前の顔は、治す。必ず。俺が手配する」

一拍置き、付け足した。

「もうネカに連絡を入れさせてる」

ネカ。

皮膚修復の分野では、神話みたいに語られる存在だ。

どれほどひどい瘢痕でも、彼女の...

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