第35章 絶対にすべてを失わせてやる

茜音視点

菅田雪恵は、私の――不自然なくらい凪いだ表情を見つめて、胸の奥がちくりとしたのだろう。顔色が、わずかに曇った。

彼女は一歩近づき、ため息を落とす。手を伸ばしかけて、私に避けられるのが怖いのか、触れられないまま宙で止まり――結局、所在なく横に立つだけだった。

「茜音、気にしないでね」

疲れと申し訳なさの混じった声で、雪恵は言う。

「夢香は……私たちが甘やかしすぎたの。小さい頃から何もかも上手くいって、つらい思いをしたことがない。あなたが突然戻ってきて、気持ちの整理がつかなかったのよ。それに、藤堂社長の件が……あの子には大きすぎて……だから、口が滑っただけで……」

言い訳が...

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