第37章 引き締める

茜音視点

「菅田夫人のオフィスは最上階にございます。すぐご案内いたします!」

受付の女性が、必要以上にかしこまった声で言った。

「急がなくていいわ」

私は淡々と返す。

「その前に、社内を一通り見せて」

「えっ……は、はい!」

逆らえる空気ではないと悟ったのだろう。受付は慌てて先に立ち、案内を始めた。

最初に向かったのはデザイン部だった。

広いオープンオフィスのはずなのに、耳に入ってきたのは仕事の音じゃない。ざわざわと、落ち着きのない喧噪。

通販サイトを眺めている者。ゴシップを回して笑っている者。

そして一番目につくのが、部屋の隅にできた人だかりだ。輪の中心では、スマホを...

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