第44章 彼女はどうしてここにいるの?

志水正国視点

地下駐車場で、柳沢未波が車を出そうとしていた。その瞬間、俺は柱の陰から飛び出し、彼女の車の前に立ちはだかった。

今の俺が、どれだけみっともないかくらい分かっている。髪は乱れ、スーツは皺だらけで、目は血走っている。だが、そんなことに構っていられない。これが――最後のチャンスだった。

「柳沢さん! 柳沢さん!」

俺は運転席の窓に縋りつき、ガラスを叩いた。

「お願いだ、もう一度だけチャンスをくれ! 話をさせてくれ!」

柳沢未波は眉ひとつ動かさず、氷みたいな目で俺を見た。そこにあるのは憐れみでも怒りでもない。最初から、視界に入っていないような冷たさ。

動かない彼女に、俺の...

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