第46章 SA、茜音

志水正国視点

「菅田茜音」

空気が、ぴしりと凍りついた。

志水真琴の表情が一瞬だけ真っ白になる。次の瞬間、世界一くだらない冗談でも聞いたみたいに、わざとらしく笑い出した。甲高く、耳を裂くような笑い声。

「ありえない! 絶対にありえない!」

真琴は俺を指さし、涙が出るほど笑いながら言う。

「正国、あんた頭おかしくなったの? あの子が? 田舎育ちの生意気娘が、そんなことできるわけないでしょ! 自分で自分を脅かしてどうすんのよ!」

真琴が信じられないのも無理はない。

自分が埃みたいに見下し、十数年も好き放題に叩いてきた養女が――金融の世界を荒らし回り、俺たちを崖っぷちに追い込んだ黒...

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