第60章 停電がもたらす、絶妙なアシスト

茜音視点

藤堂博文の瞳に浮かぶ、隠しもしない期待。

ため息が出そうになるのを飲み込み、私はできるだけ角を立てないように断った。

「ありがとうございます、おじいさま。でも大丈夫です。あとで帰りますので」

言い終えるより早く、スマホが震えた。

菅田雪恵からだ。

通話を取る。こちらが声を出す前に、向こうの焦った声が飛び込んできた。

「茜音、今夜は帰ってこないで! お父さんと、お兄ちゃんと……急に用事ができておじさんの家に来ちゃって、今日はもう戻れないの。あなた一人で家にいるの心配だから、藤堂家に一晩泊まってくれない? お願い」

穴だらけの言い訳。棒読みの台本みたいに不自然で、逆に笑...

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