第67章 俺を見て、茜音

茜音POV

菅田夢香の瞳に、動揺と嫉妬と悔しさがいっぺんに渦巻いた。理性の縫い目がほどけかけたみたいに、表情が一瞬で崩れる。

握っていたグラスが、ぶるりと大きく震え――

ガチャン。

指の間から滑り落ちたガラスが床に叩きつけられ、粉々に砕け散った。水が跳ね、彼女のスカートの裾を濡らす。

菅田直木と菅田雪恵は、冷えた視線を一度だけ落としただけで、すぐに店員を呼んで片づけさせた。

けれど菅田夢香は、そんなことが目に入らないらしい。私を睨みつけたまま、嫉妬に焼かれて理性が灰になった声で食い下がる。

「藤堂家に住んでるの? じゃあ律は? まさか……一緒に住んでるの?」

私の顔から、焦り...

ログインして続きを読む