第69章 集団で休暇を申請する

菅田夢香POV

もう調べはついている。藤堂律は今夜、ヨットを丸ごと一隻チャーターした。客を招いた形跡はない。

つまり――彼は一人のはず。

ヨットが埠頭に着き、藤堂律がデッキから降りてくる。夜の闇の中で彼を待ち続けた私を、一目で見つける。私の美しさと想いの強さに息を呑み、執念にも似た一途さに心を揺らす。

その瞬間、茜音なんて、彼の記憶から消える。

甘い妄想に溺れていた、そのとき。

遠い海面に、真っ白な船体のヨットが灯りをともして、ゆっくりと埠頭へ近づいてきた。

心臓が喉までせり上がる。私は慌ててショールを放り捨て、髪を整え、背筋を伸ばした。何度も鏡の前で練習した、いちばん完璧な立...

ログインして続きを読む