第80章 セクシーなパジャマを着る

茜音POV

母は藤堂律にやたらと愛想よく、視線が何度も彼の全身をなぞっていた。見れば見るほど満足そうで、頬までゆるんでいる。

「こんな時間だし、まだ夕飯食べてないでしょ? 台所に何か作らせるわね」

父まで乗っかる。

「そうだな。軽くでも食べていけ」

藤堂律は礼儀として小さく頷いただけ。けれど意識の全部は、最初から最後まで私に向いていた。

彼は私の側へ回り込み、さっと車のドアを開ける。頭上には自然に手を添え、私がフレームにぶつからないように守ってくれた。

その瞬間、玄関のほうから、甘ったるくて――しかもわざとらしい声が飛んでくる。

「律……来てくれたのね」

菅田夢香が立ってい...

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