第88章 補償

菅田夢香POV

電話を切ったあと、父は長く濁った息を吐き出した。顔色は鉄みたいに青く、胸が大きく上下している。

「直木、いったい何があったの? お願い、脅かさないで……!」

母は目尻を赤くして、今にも泣きそうな声を震わせた。

「茜音がいじめられたの? 誰かに何かされたの?」

父はスマホをローテーブルへ叩きつけるように置き、歯を食いしばって吐き捨てた。

「いじめ? ふん、あいつらはやろうとしただろうさ。だが茜音が掴んだ。社内で内通して、横領まがいのことをしてる連中がいるってな。梅宮早絵だ。あいつ、度胸がありすぎる。勝手に工場を立ち上げて、うちのデザインと生地を盗用してやがった」

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