第97章 産まれたときの予期せぬトラブルの調査

茜音POV

菅田夢香の視線が私に落ちる。唇に残った生々しい腫れを見つけた瞬間、彼女の目尻に浮かんでいた笑みがぴたりと固まり――次の刹那、侮蔑と愉悦が混じった、いやらしい光に変わった。

わざとらしく口元を押さえ、心配しているふりの声を作る。

「まあ、茜音。唇、どうしたの? そんなに腫れて……女の子なんだから、外では気をつけないと。変な人たちと付き合ってたら、噂になって名誉に傷がつくわよ」

菅田悠一の顔色が一気に落ちる。今にも言い返しそうになった、その前に――私が口を開いた。

まぶたすら上げない。玄関で靴を履き替えながら、天気の話でもするみたいに淡々と。

「藤堂律」

たった三文字。...

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