第99章 デザイナーの才能を見出す

茜音POV

彼女の言葉は、一見すると「礼儀としての忠告」みたいに聞こえる。けれど本音は違う。――私が礼儀もわきまえず、朝っぱらから男にくっついて外へ出ていく女だと、遠回しに責めているだけ。

藤堂律はそれを聞いても、菅田夢香に視線の端すら寄こさなかった。私のほうへ顔を傾け、低い声で優しく訊く。

「寒くない? 車にブランケットある」

その徹底した無視に、菅田夢香の顔色がみるみる変わった。青くなって、白くなって。気まずさだけを貼りつけたまま、その場で固まる。

そのとき。

二階のバルコニーから、笑みを含んだ声が降ってきた。

「夢香、あの二人のことは放っておきなさい。行かせてやりなさい」...

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