第107章 以前あなたに話したあの人のこと、覚えている?

三日後の朝、警察署の脇口が、ほんのわずかに開いた。

ヴィアンは女警官に押し出されるようにして外へ出された。

身にまとっているのは、女警官が雑に投げて寄こした古い服。髪はぐしゃぐしゃに絡まり、目の下には濃い青黒い隈がべったりと貼りついている。肩をすぼめたまま、段差の上で小さく縮こまった。

三日前まで、化粧も完璧で、鼻先で人を見下ろしていたクレモン家の令嬢――その面影は、どこにもない。

唯一の救いは、ヴィアンが「実質的な犯罪」を立証されなかったことだ。リオンに薬を盛った件も、現地警察は決定的な証拠を掴めていない。しかも国外で起きた出来事で、通報もなく、結局はうやむやになった。

……幸運...

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