第108章 クレモン家から離れろ

ヴィアンは、はっと息を呑んだ。

脳裏を電光石火でひとつの名前が駆け抜け、彼女は反射的に首をひねってエドワードを見た。

「……い、いま言ったの、トーマス・サリヴァンのこと?」

エドワードはゆっくりとうなずく。

ヴィアンの鼓動が、跳ね上がった。

パリにいた頃、エドワードが一度だけ口にした名だ。

トーマス・サリヴァン――国際宝飾界の大御所。半世紀にわたって影響力を持ち、彼と少しでも縁ができれば、デザイナーの価値は一気に跳ね上がる。

あのときエドワードは「繋げてやれる」と言った。けれど、その後いろいろありすぎて、ヴィアンはすっかり忘れていたのだ。

「……彼が、私を助けてくれるの?」ヴ...

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