第122章 彼女は何も言わない

エラは病院で三日間を過ごした。

その三日間、リオンはほとんど自分のオフィスごと病室に持ち込んだ勢いだった。

仕事をしながら昼も夜もエラのそばを離れない。もちろん、婚約の話も忘れない。

「これ、見てくれ」

リオンはフォトブックをエラの目の前に掲げ、海沿いの邸宅の写真を指でとん、と叩いた。

「サントリーニ風の邸宅で、プライベートビーチ付き。メインホールは200人入る。欠点は市街地から少し遠いことだな。車で2時間半くらい。でも前日に全員まとめて送迎すれば――」

「リオン」

エラは困ったように笑う。

「それ、昨日も見せてくれた」

「そうか?」

彼は写真に目を落とし、眉をひそめた。...

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