第124章 それで苦しむことはない

エラの足が、ふっと止まった。

「真実を知ったところで、あなたはもっと不幸になるだけよ」

ヘレンが、唐突に笑った。

「全部わかったつもりになれば解放される? 心置きなく幸せに暮らせる? 無理よ。断言してあげる。不可能。あなたは一生、欲しいものなんて手に入らない」

エラは、ゆっくりと振り返った。

振り返ったのを見た瞬間、ヘレンの瞳に、狂気じみた執着がぱっと灯る。

両手で机の縁を爪が食い込むほど掴み、身を乗り出した。

「自分でもわかってるでしょ。あなたは小さい頃から、誰にも愛されてこなかった。孤児院でも誰もあなたを愛さなかった。私はあなたをあそこに捨てて二十年以上、一度も顔を見に行か...

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