第129章 この人物に会いに行く

エラはしばし沈黙し――ふっと笑った。

「……この状況で、笑えるの?」ノラは目を丸くする。

「大丈夫。誰も私を陥れようとしてない」エラは首を横に振った。「むしろ逆。この人は、私を助けてる」

ノラが固まった。

何が起きているのか分からないという顔で、口を開けては閉じ、ようやく絞り出すように言う。

「助けてる? どこがよ。これのどこが『助け』なの?」

エラは腕を組み、落ち着いた声で続けた。

「ヘレンの不倫を、私が自分で暴くのは無理。私は当事者だから。リレームを縛って警察署に連れて行ったのも私だし、オースティンの大会で聖心孤児院のことを公に告発したのも私。そんな私がさらにヘレンの醜聞ま...

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