第32章 あの人は見覚えがないか

直後、前方から轟音が響いた。

エラとリオンは同時に顔を上げ、交差点のほうを見る。視界に飛び込んできた凄惨な光景に、ふたりとも息を呑んだ。

横合いから、制御を失った大型トラックが突っ込んできて、赤信号で停車していた黒い乗用車の側面へ車首を容赦なく叩きつけたのだ。

振り向いた時点で、トラックはまだ減速しきれていない。

ようやく止まったときには、大型トラックはほとんど乗用車に乗り上げていた。

鉄の塊が、別の鉄の塊を押し潰す。黒い車体が目に見えて歪み、沈み込んでいく。

エラは思わず息を吸い込んだ。

赤信号待ちをしていた周囲の車から次々と人が降りる。口元を押さえて後ずさる者、スマホで動画...

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