第36章 かつての私の姓はクレモン

彼は振り返り、視線をもう一度、ベッドの上の彼女へ戻した。

さっきのエラは、きっと悪夢を見ていた。兄貴、兄貴と、途切れることなく叫び続けて――その声は、叫ぶたびに痛々しさを増していった。

だから彼は、エラに訊ねたのだ。クレルモン家に戻りたいのか、と。

けれど今思えば、あの「兄貴」の声は、危険に追い詰められた瞬間、反射的にルイへ助けを求めたものに似ている。けれど拒まれて――そのまま突き落とされた、絶望の響き。

リオンの眉間に、ゆっくりと皺が寄る。

エラとクレルモン家の間に確執があることくらいは知っていた。だが今になって、ようやく思い知らされる。自分が知っているのは、ほんの表面だけだと。...

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