第55章 通報しろ

ヴィアンはようやく「何かがおかしい」と気づいた。錆びついたみたいな頭が、ぎぎ……と遅れて回りはじめる。

彼女は控室の扉を押し開けた。ソファに凭れていたリオンへ近づき、ベルトに手をかけ――

それから。

それから、リオンがふいに目を開けたのだ。彼は彼女の手を止めさせ、残っていた水まで強引に口へ流し込んだ。

そこから先の記憶が、靄に沈む。

ただ、かろうじて覚えているのは――立ち上がって去っていくリオンの背中と、人だかりに囲まれたまま、恥ずかしい喘ぎ声を漏らし、自分の身体へ指を狂ったように這わせていた断片的な光景だけ。

「きゃあっ!!」

ヴィアンは頭を抱えて叫んだ。

人の輪のなかから...

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